京都府立亀岡高校は、府立校では唯一の、普通科芸術系コースを持った高校です。芸術系コースでは、芸術系の大学や短大、専門学校への進学を目指して、絵画や工芸など様々な芸術分野を学びます。同校の美術教育でAdobe® Photoshop®がどのように使われ、どのような教育効果を上げているのかを、河原久美子美術担当講師に伺いました。

亀岡高校の普通科芸術系コースは、各学年1学級40人。3年生になると「コンピュータ造形」(週2時間)、「映像メディア表現」(週2時間)の授業が設けられ、コンピュータグラフィックスやマルチメディアアートなど、コンピュータを用いた美術表現を学ぶことになります。
まず高校生たちは、コンピュータを使う授業に対して、どんなイメージを持っているのでしょうか。河原先生は次のように指摘します。
「美術の授業でコンピュータを使うことになって、生徒たちは確かに喜びます。しかし、生徒たちが授業に期待しているのは、コンピュータやアプリケーションソフトの使い方を一から学びたい、ということなのです。それで私は、最初の授業で『それは違う』とハッキリと否定することにしています。授業を、コンピュータやソフトの操作法を教えるための“コンピュータ教室”にしないこと。これが、最も気をつけている点です」と、美術担当の河原久美子先生。
河原先生が、授業で生徒たちに望むことは『できるだけ自分で考える』こと。コンピュータにはできない、『考える』という作業を最も大切にとらえています。

CDで卒業アルバム
Adobe Photoshop を使ってCDジャケットをデザインした。授業目標は、
画像の
合成、効果的な画像処理を研究。アナログ手法の利用。生徒たちの
作品をCDに
焼いて卒業アルバムをつくり、そのジャケットにした
「リテラシー教育には、それなりの効果があると思います。しかし、自分が思い描く授業とは違うのです。限られた美術教育の時間の中で、最優先にしたいことは、やはりアナログでしかできないことです。生徒に、粘土をさわったり、筆で絵を描いたりする時間を大事にしてあげたい。というのも、そこで培われた感覚が、Photoshopをさわったときに生きてくるからです。アナログとデジタルの違いに気づいたり、相互の良さを発見したり、新しい発想につながっていくと思うからです。いろんなところから素材を探してきて、構成ラフを練り上げてみる、それができたら初めてPhotoshopを使いましょうと、そんな指導を心がけています」。
コンピュータの役割は、作品を創り上げていくときのプロセスの1つにすぎない。そして、コンピュータに使われるのではなくて、コンピュータを使うようになって欲しい。河原先生が生徒たちに伝えたいのは、このことなのです。
亀岡高校のコンピュータ教室。円形のデスクが、生徒同士の活発なディスカッションを生み、より高度な表現活動を可能にする