

記念すべき第1回のこの日は、梅雨明けを間近に控えた猛暑に負けず、会場は多数の熱いクリエイターで満員に。塩見氏によるナビゲートで3パートに分けて進められた今回のイベントは、Adobe Creative Collegeの名に相応しいTipsやヒントを満載して開催いたしました。
パート1は、Mr. Childrenや木村カエラ、Charaなどのミュージックビデオ、ユニクロやNTT ドコモなどのCMを手がけるコトリフィルム代表の島田大介氏を迎え、パペットツールの意外な使い方やP2によるテープレス収録のアドバンテージ、そして、実はAfter Effectsの標準機能で作られていた“あのシーン”の裏側が明らかに。
オリジナルのショート作品を例にした解説では、一見CG処理かと思える、「コトリフィルム」の文字の周りに漂うカラフルな髪の毛の動きをパペットツールで表現。また、影絵のようなシルエットがコミカルに動く映像にもパペットツールを使用し、レイヤー分けされたパーツにさほど作り込みをせずに影絵では不可能なリアルなアニメーションを与えていました。
Composite1
AE自由自在
「パペット・パペット・テープレス」
クリエイター:島田大介
Composite 2
AE CS3研究所
「お題:バニッシングポイント」
Composite 3
AE自由自在「縦編集・横編集」
クリエイター:エレクロトニック
【Composite 1】

ナビゲーター塩見氏(左)と島田大介氏
今回の作例の「モデルの頭から横に伸びた髪が、文字の周りをそよ風に吹かれるように漂う」という動きを再現する場合、通常では3DCGで物理演算を行ったり、またワーピングツールなどでキーフレーム処理を行ったりといった複雑な処理や予算が必要ですが、スチール撮影された素材にAfter Effects CS3の標準機能であるパペットツールでボーンを設定し、動きを付けることで、手軽かつ有機的で自然な動きを実現しています。
また、影絵のパーツを自然に動かすといった、さりげないけど実際には非常に手間がかかる作業も、パペットツールを利用することでごく簡単に自然なアニメーションを付けることができ、「便利な時代になりました(笑)」との感想が。

上下の髪の毛を、新機能パペットツールでアニメーション化
一方、気鋭のロックバンド「9mm Parabellum Bullet」のセカンドミュージックビデオ「Discommunication」では、Panasonic P2 によるテープレス収録を採用。Premiere Pro CS3ではP2のMXFファイルを中間ファイルへの変換をせずにダイレクトに読み込めるため、すぐ に作業を始められることや撮ったままの画質を扱える安心感を高く評価。撮ったその場でP2カードからPremiere Pro CS3に読み込んでショッ トの確認やオフラインが行えるのは大幅な時間短縮になるほか、撮影時のモチベーションを維持したまま快適に作業に専念できたとのことでし た。
さらに、この作品の大きな特長であり、「業界でも話題になった」というエンディング付近の人物が溶けるカットのタネ明かしも。すべての合成を After Effects で行ったということで、どんな特殊プラグインを使用したのかと思えば、実はフラクタルノイズ・フィルターで作成した泡がドロドロ溶 けるようなマット映像をディスプレイスメント・マップで素材に適用しているだけ。つまりAfter Effects CS3の標準機能だけで実現しています。
リアルに見えるポイントは、手や体、顔などをマスクで細かくパーツ分けして、溶けだすタイミングやパラメータを微調整しているところ。全メン バーとモデルの女性2人にこの演出を行っているため、一連のシーケンスだけでおよそ1週間をかけて150近いレイヤーに及ぶ地道な作業が続 けられることに。「誰も見たことがない映像を作ってお客さんを喜ばせたい」という島田氏。そのクリエイター魂とAfter Effectsの奥深さを見せら れた、貴重な秘話でした。